老人ホームに入居する前に考えなければならないこと

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株式会社ASFON
小嶋勝利
MASATOSHI KOJIMA

高齢者が病院を退院しなければならない時期になっても、自宅に帰ることが出来ない場合が多くあります。たとえば、転倒して骨折し手術をしたが、長期間ベットで寝ていた為、筋力が低下し、以前のように歩くことが出来なくなったり、認知証の症状が発生したり、また、最近では、医学の進歩で、脳疾患により一命は取り留めたが、身体の自由が奪われ、人の手

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を借りなくては、日常生活が送れなくなってしまったり。特に独居の高齢者や老老世帯の場合は、在宅介護サービスを受けたとしても、自宅で生活をすることは難しいのが現状です。また、たとえ同居の家族がいても、高齢者介護を自宅で行うことは、家族が何かを犠牲にしなくてはなりません。両親は仕事が忙しく、おばあちゃんの介護を娘が行っていた為、娘が結婚できなかったといって、後悔している母親の話はよく耳にします。その因果関係が、どこまであるのか分かりませんが、要介護状態の高齢者を自宅で家族が見ることは、想像以上に様々な人に負担がかかることは間違いありません。その中で今、自宅に戻らず、病院から直接老人ホームに入居をするケースが増えています。
また、一口に老人ホームと言っても、公的な機関が運営している特別養護老人ホームから、民間の事業者が運営している有料老人ホームまで、その種類は実に様々で、専門家でもよくわからないのが実情です。
今回は、これらの老人ホームに入居をする前に、前もってやっておきたいこと、または、前もってやっておいた方が良いことをご説明したいと思います。

①どうなったら老人ホームに入るのか家族で話し合う

高齢者が長期的な期間で入院した場合、前に示した通り、何らかの障害が発生します。そこで、どこまでの我慢なら、自宅で介護をしていくのかを家族全員で話し合っておくことが重要です。特に、同居の家族だけではなく、親戚などの考えも、聞いておいた方が良いと思います。同居の家族は老人ホームへ入居を考えていても、遠くの親戚が反対し、入居が出来なかったケースもあります。また、入居費用を負担するのが、たまに来る長男で、本人と同居し、面倒を見ているのは次男と言うケースの場合、次男家族がどれだけ大変なのかを長男が理解できない場合などでスムーズな入居が出来ない場合もあります。


②身元保証人を決めておく

誰が身元引受人、保証人になるのか。入居契約時に保証人が絶対必要です。
老人ホームとしては、緊急時の相談や死亡時の遺体の引受け、支払いが滞った場合の金銭保証などを確実に実施してくれる身元引受人や保証人がいないと入居を拒絶されます。通常の場合は、子供が身元引受人になる場合が多いのですが、親子間や兄弟間で仲が悪い場合や、いても遠方に住んでいる場合等は、トラブルになる場合もあります。また、身元引受人、もしくは保証人となる親族がいない場合、後見人を選定する必要があります。さらに、最近では、被後見人の死亡後の対応について、事前に後見人に確認をとる老人ホームもあり、身内の保証人がいない高齢者の入居は、難しさが増しています。


③これまでの診療記録を整理しておく

老人ホームに入居する前には、診療情報提供書の提出がほとんどの老人ホームで義務づけられています。これは、入居者である高齢者の健康状態の把握をホームができるようする為ですが、特にホームが注視するところは、「感染症」の把握です。集団生活をしなければならない性格上、肝炎や結核、MRSAなどの感染症は入居の拒絶要件にもなりますので事前に調べておいた方がよいと思います。また、検査結果も2,3週間は確実にかかりますので、注意が必要です。


④持っていく衣類に名前を書いておく

洗濯物の管理は意外と面倒です。衣類の選択は、ホームで行いますが、全員の衣類をまとめて洗いますので、衣類には名前を書いておく必要があります。また、高級品の衣類(カシミアのセーターなど)は基本的に痛みます。想定しておいてください。些細なことですが、意外と土壇場にならないとわからないことなので、事前に準備をしておくと、便利です。イメージで言うと、幼稚園の時に子供の洋服に名前を書いたりシールを張ったりしたと思いますが、それと同じようなことです。


⑤お金の管理対策を講じておく

とにかくお金の管理が重要です。本人の預金や貯金から介護費用などを支払うケースは非常に多いと思います。しかし、昔と違い、銀行等から簡単に預貯金を本人に代わりおろすことが出来ない時代です。よくあるパターンは、急に具合が悪くなり、本人名義の預貯金にお金はあっても、引き出せずに、子供が立て替えて支払わなければならない場合があります。昔なら、○○さんの娘さんね!と言いながら、金融機関は事情がわかっていれば、本人がいなくても払い戻しに応じてくれました。しかし、今は、たとえ事情がわかっていたとしても、本人以外は、おろすことが出来ません。いわゆる後見人制度を利用しなくてはならないのです。
したがって、事前に親子間で、なんらかの対策を考えることが必要です。ただし、やり方を間違えると、贈与等になる可能性もありますので、税理士などの専門家に事前によく相談して対策を考える必要があります。老人ホームの費用だけでなく、葬儀費用の支払いにも困ったケースをよく耳にします。「お金はあるけど払えない」と言ったことを回避する対策を考えることが重要です。



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